Alcohol Ink Art : レジンコーティングのリスク

( 追記しました )

 

最近一番よく頂く質問が、

アルコールインクアートをレジンでピカピカにコーティングしたい。

インクが滲んでしまうのですが、どうしたらいいですか?

という質問です。

 

結論から言うと、私はアルコールインクアートのレジンコーティングをしていません。

理由はリスクが多く、作品の寿命も短くなるからです。

レジンコーティングは高級感と透明感が出てとても素敵なのですが、個人的には紙とインクの段差や、乾いたインクの質感も好きなので、今のところはコーティングする予定はありません。

 

まずはレジンコーティングのリスクを簡単にリストアップしてみます。

1 : レジンコーティング時にインクが滲んだりユポ紙が波打つ

インクとユポ紙は熱に弱いのでコーティング時にインクが滲んだり、ユポ紙が波打ってしまうのは仕方が無いと思います。

そのため、レジンの前にヴァニッシュを使用し、作品の表面に触らないように気をつけながら、ヒートガン/トーチの温度を控え目にしてコーティングしていただくしかないと思います。

 

2 : コーティング時/コーティング後に変色する可能性がある

これもヴァニッシュの使用によってある程度防ぐ事ができると思いますが、ヴァニッシュがユポ紙全面に確実についている必要があります。

ヴァニッシュは以下のホルベインさんのものがおすすめです。


マットタイプとグロスタイプがありますが、レジンコーティングされる場合はどちらでも良いと思います。

他メーカーのお安いものも試しましたが、ホルベインの方がインクが滲みにくく仕上がりが美しいです。

 

3 : 気温が高い日に、レジンの下でインクが滲む可能性がある 

 

4 : レジンはUVカット出来無いため、インクが退色/変色する

 

5 :  レジンは紫外線や時間の経過により黄変する性質があり、月日が経つとレジンが黄色っぽく見える

紫外線が黄変の大きな原因になりますから、なるべく紫外線に当たらないように気をつけることはできますね。

(もちろんコーティング前にバニッシュを使用していても、レジン自体はUVカットできません。)

経年劣化についてはどうすることも出来ないのですが、出来るだけ黄変しにくいレジンを選択した方が良いですね。

お値段は結構高くなりますが、私もこちらのNEOに移行しました。

レジンコーティングの前にはヴァニッシュも忘れずに使用してくださいね。

 

2018年には、日本でもアルコールインクアートやレジンアートが徐々に知られるようになってきました。

2019年になると、アルコールインクアートのレジンコーティングに関する質問をよく頂くようになりました。

 

私も2018年、今から約1年前にレジンコーティングをヴァニッシュ無しで試したことがあります。

私は実験として、要らないアルコールインク作品をレジンコーティングしましたが、結果としては上記のいくつかの項目については実感しました。

レジンコーティング時にもインクが滲んだことによる変色はありましたが、約1年ぶりにそれを見たら更に変色がありました。

特に鮮やかなブルーはピンクっぽくなっていて変色の度合いが大きかったです。

もしこの作品がお気に入りの1点だったら、とてもショックを受けると思います。

上の写真は

左:  (ユポ紙ではなく)キャンバスにアルコールインクで描いたもの、レジンコーティング前

右: ヴァニッシュ無しでレジンコーティングし、インクが滲んだものを、さらに直射日光のあたらない室内で一年間放置したもの

の比較です。

これは、レジンコーティングしている時にはすでに滲みと少しの変色があり、更に一年という時間の経過で変色が進行したかなり酷い例です。

ユポ紙上にヴァニッシュで仕上げをし、レジンコーティングに成功した場合ももしかしたら多少インクの変色が起きる可能性はありますね。

レジンコーティングには以上のような様々なリスクがあります。

しかし、もちろん必ずインクの色が滲むわけでは無いと思います。

海外製のレジンブランドのART RESINなどは、インクアートをレジンコーティングできると宣伝しています。

ですが、海外アーティストの間では、レジンブランドに関わらず、気温の上昇によってレジンの下でインクが滲むという声は随分前からよく挙がっています。

(気温が下がるとほとんど滲みがない元の状態まで戻ったと言う声もあります。)

私は海外製レジンは使用していないので、どれほどアルコールインク作品に対応しているのかは分かりません。

ですが、気温が高いとレジンコーティングしていないインクアートのインクの表面も少し柔らかくなりますし、滲みが出てもおかしくはありません。

結論として、もちろん練習すれば綺麗にコーティング出来るようになるけど、レジンコーティングした場合としない場合を比較すれば、コーティングしないほうが確実に作品の寿命が長いと考え、私はコーティングしていません。

最近では日本でもレジンコーティングしたインクアート作品を販売されている方も増えてきましたが、まだまだ新しいアートなので、まだコーティングして1年以上経過した作品がほとんど無いのだと思います。

もし作品の販売を検討されている方はせめて半年以上は様子を見て、問題がないことを確認してから販売を始めるか、滲んだら無料交換するなど、アフターケアができるように準備をしておく必要があると思います。

 

とはいえ、インクアートのレジンコーティングはとても綺麗なので、是非試したい!というお気持ちもよく分かります。

特に透明感が加わると、インクが乾く前のアーティストしか見られない瑞々しいインクに戻ったように見えて、ずっと見ていたいほど本当に美しいです。

初めてレジンコーティングに挑戦される方は、お気に入りの作品は決して使わず、まずは何度か試してからにしましょう。

 

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