
2017年から2年半にわたって、新しい情報や商品を見つけてはご紹介させていただいてきたのですが、情報量が多くなったので、今回は
アルコールインクアートを始めたい方の為に基本の画材情報をこの1ページにまとめてみたいと思います。
今までにご紹介したことがない画材も一緒にご紹介します。
『これさえあればアルコールインクアートが始められるもの』1〜3
『是非用意していただきたいもの』と、『あると便利なもの』4〜7
『作品の表面を守る、そして飾るためにあると良いもの』8、9
の順でご紹介します。
そして最後に少しだけ
レジンコーティング
についてもお話したいと思います。
ちなみにアルコールインクアートとは、アルコールインクとアルコール液を混ぜ、アルコール液の揮発を利用して描くアートです。
揮発というと難しそうに聞こえますが、お子さんと一緒に始めることもできるほど気軽に、そして簡単に始めることができます。
『これさえあればアルコールインクアートが始められるもの』
1: アルコールインク

海外ブランドで有名なブランドは以下の2つです。
Jaquard Piñata ジャカード ピニャータ
Ranger レンジャー (Tim Holtz ティム ホルツ)
どちらも発色が良いのですが、ピニャータは割とはっきりした明るいカラーが多い印象で、レンジャーは中間色や繊細なカラーが多く人気です。
初めてアルコールインクアートを始める方には、メタリックゴールドも入っている9色セットが人気です。
ちなみに現在のところ、日本ブランドのインクではメタリックカラーはありません。
そのためピニャータのメタリックが一番人気となっています。
特にアルコールインクアートで人気のメタリックカラーは黄色みのあるゴールドらしい RICH GOLD と、さらに RICH GOLD よりも暖かみのある BRASS というゴールドです。
特に BRASS はアルコールインクアートが流行り始めた頃には世界的にも売り切れが多く購入が難しい時期があったほど、アルコールインクアート界で最も人気のカラーと言えます。
私も BRASS はメタリックカラーの中で一番よく使うカラーです。
レンジャーにもメタリックカラーはあるのですが、ピニャータは大容量ボトルもあるため、そちらの方が人気があります。
(海外のインクはオンラインショップ上で価格の変動がとても大きいので、購入前に比較してくださいね。また、海外配送なので届くまでに時間がかかります。)
日本のアルコールインクメーカーとしては、
Copic コピック
がほぼ独占状態で、世界的にも圧倒的な人気です。
人気の理由はそのカラーの豊富さがダントツで、コストパフォーマンスの良さも大きな理由です。(しかし2020年春のリニューアルよりインク容量が減るため、少し値上がりとなります。)

↑ インクアート向けにボトルがリニューアルされたコピックインク

(左) ピニャータ、(中)レンジャー、(右)旧コピックインク(バリオスインク)
。
2: アルコール液 + スポイトまたはニードル付き容器

アルコールインクアートに使用するアルコール液としておすすめのものはアルコール濃度が100%に近いものです。
日本で購入できるものですと、以下の2種類がおすすめです。
– 無水エタノール
– IPA(イソプロパノールアルコール)
IPAの特徴としては、99.9%という最高のアルコール濃度と、コストパフォーマンスの良さです。
IPAは無水エタノールの4〜5分の1程度の価格で購入できるので、思い切ってたくさん練習できますね。
IPAの方がアルコールインクアートをする時に描き心地が良いという方も多いです。
無水エタノールを使用していた方にとっては、IPAの方が匂いが強いという意見もあります。
個人的には、アルコールの匂いに慣れてしまっているからか、換気をしながら使用すればそんなに気になりません。
しかし、人によっては気分が悪くなる場合もあります。
もしも気分が悪くなったら、外の空気を吸って、水分補給をしながら休んでください。
そしてアルコール液を使用する際に必要になるのが、スポイトやニードル付き容器です。
海外ではスポイトを使用するのが一般的ですが、私はニードル付き容器がアルコールインクアートに最適だと思います。
理由としてはニードルの方が、使うアルコール液を少量で出すことも出来、コントロールしやすいことと、キャップ付きなのでアルコールの揮発をほぼ完全に近いほど防ぐこともできるからです。
また、このニードル付き容器はインクを入れることにも適していて、ピニャータなどのメタリックインクも入れることができます。
ニードル付き容器は大抵が中国から販売・発送されるのですが、いくつかの販売者から購入して、その中でも私は上記の販売者が一番信頼できるので、リピートしています。
不良品がほぼ入っておらず、大体いつも蓋のシリコン部分は余分に入れてくれています。
3: ユポ紙

ユポ紙はフィルム法合成紙の事で、主にポリプロピレン樹脂でできているため、水に強く破れにくく、屋外用のポスターなどの印刷にも使用されています。
そのためアルコールインクアートには最適な紙です。
アルコールインクアート始める方におすすめで、日本で最も人気のあるユポ紙はこちらのA4(左)、A3(右)サイズのものです。
厚みがあるので、ヒートガン(記事下に記載)も使用できますよ。
そして、大きな紙に描きたい方にはユポ ロール紙がおすすめです。
現在日本で購入出来る最大サイズのものです。幅610mm/ 914mm/ 1118mm の3種類です。長さは30mです。



Alcohol Ink Art / Yupo (ユポ紙) とは・選び方
以上の3つがあればアルコールインクアートは誰でも始めることができます。
部屋の換気を忘れずに、髪の長い方はしっかりと髪をまとめて作業をしてくださいね。
またアルコールインク、アルコール液はともに火気厳禁となっております。
使用の際には充分に注意し自己責任で行ってください。
次はこれらに加えて、是非用意していただきたいものと、あると便利なものをご紹介します。
4: 防水性ビニールシート

アルコールインクは油性マジックのインクと似ていて、テーブルや床につくと取りにくく、シミになってしまいます。
同様にアルコール液もフローリング等につくと白くなってしまいます。
防水性のビニールシートなどでお部屋を守ってください。
私は100円ショップに販売しているビニール製のテーブルクロスを愛用しています。
さらにインクを拭き取ったりするために、ビニールシートの上にキッチンペーパーを敷いている方も多いのですが、キッチンペーパーを大量消費しないために、私は大きいサイズの
吸水クロスも使用しています。
ご興味のある方は以下の記事をご参考ください。https://marbleandwaves.com/2020/02/29/alcohol-ink-art-まだキッチンペーパー大量消費してる?/
5 : グローブ (手袋)

ビニールシートと同様に必要となるものは、グローブです。
アルコール液を直接触ると、皮膚が乾燥したり、肌荒れを起こしたり、アレルギーを引き起こす原因にもなるかもしれません。
一番のお勧めはゴム手袋で、手のサイズよりもワンサイズ小さめのものです。
アルコールインクアートでは描いている時に指先もよく使いますので、指とグローブの間に隙間があると作業がしにくくなってしまいます。
私はグローブを外した後にすぐにユポ紙を触れられるように、粉無しタイプのゴム手袋を愛用しています。
こちらのグローブは破れにくくて、ここ1年はずっとリピートしています。
日本人女性の手が大きな方でもSサイズでちょうど良いくらいです。
もちろんゴムのアレルギーや赤み、かゆみなどが出た方は、ビニール製のグローブなど、他のグローブをご使用ください。
6 : ヒートガン または ヘアドライヤー

アルコールインクとアルコール液をユポ紙の上で混ぜて、息をふぅ〜っと吹きかけて描くアルコールインクアートですが、ストローや、手動のブロワーなどを使う方も多いです。
そしてヒートガンがあると、通常よりも早くアルコール液を揮発させることができ、アルコールインクアートの表現の幅がさらに広がります。

↑Paock
Paockの小型のヒートガンは私が今までに試した物の中で、軽くて最も初心者の方にお勧めしたいタイプです。
小型ヒートガンは温度調節ができず温度が高すぎたり、壊れやすいものが多いです。
こちらのタイプはオンラインで探しまわった中で唯一小型ヒートガンで適温での送風モードが付いているものでした。
送風温度は50℃と最適です。
私が普段作品制作に使用しているのは大型のヒートガン(Anesty)です。
Anestyのヒートガンは温度調整ができ、温度がデジタル表示されるので、低温で使用したい時に活躍してくれます。
弱点としては、コードが1mしかないことと、消費電力が1500wと高いこと、そして音がうるさいと思います。
そして、ご自宅にあるヘアドライヤーを使用している方もとても多いのですが、アルコールインクアートに向くドライヤーは、風力が弱いものです。
くるくるドライヤー(カールドライヤー)はよくアルコールインクアートに使われていますが、風が強すぎるとインクのコントロールはとても難しくなります。
家電量販店で10台くらいのくるくるドライヤーの風量や風の広がり方を見ましたが、アルコールインクアート向けのものは10台に1台くらいという印象でした。
特にパナソニックさんのくるくるドライヤーはアルコールインクアートには向いていません。
7 : 筆

ヒートガン同様、あると表現の幅が広がるのが筆です。
アルコール液を筆先につけて、インクアートの上にちょんちょんとつけると、かわいい水玉模様が現れます。

線を描いてみたり、筆の形を変えていろいろと試してみると良いですね。
アルコール液を使用するため、筆が傷みやすいので、安いもので十分だと思います。
私は子供の頃から家に眠っていた細筆や、こちらの筆セットを使用しています。
ちょんちょんと描く時には先の細い筆、扇状の筆はアルコール液を含ませて指でしごいて雨のように粒を降らせたりと、使い分けています。
最後に、
『作品の表面を守る、そして飾るためにあると良いもの』
8: UVカットスプレー

仕上がったアルコールインクアート作品の表面を守るUVカットスプレーです。
UVカットだけでなく、退色を防いだり、作品の表面が埃などで汚れるのを防いでくれる役割もあるそうです。
個人的には艶ありタイプでも作品の艶感が少しなくなってしまうので、あまり使用したくありません。
しかしレジンコーティングをされる場合にも、コーティング前にこのスプレーが必要になります。
スプレーしないと、レジンでインクが滲んで作品が台無しになってしまいます。
グロススプレー(左)とマットスプレー(右)がありますので、お好みの方をご使用ください。
グロススプレーでも元々のインクの質感よりも若干ツヤが失われますので、少しでもインクのツヤを失いたくない、という方にはスプレー無しで以下の方法がお勧めです。
9: マット + UVカットフレーム

私が最もお勧めする仕上げ方法としては、インクのツヤを失くしたくないので、UVカットスプレーを使わずに、以下のようなマットに貼り付けて、さらにUVカットフレームに入れる方法です。
マットを使う利点
マットを使うのには作品を美しく見せてくれるだけではない、大きな理由があります。
それは、フレームと作品の間に隙間を作ることです。
マットは1.5〜2mmのものが一般的ですが、これによってできるわずかな空間が作品とフレームが接触するのを防いでくれます。
インクとフレームが接触していると、フレームへの色移りが起きたり、日本のように暑い夏にはインクが柔らかくなってくっつく可能性があります。
マットの幅が細くてフレームの枠に隠れてしまう場合でも、マットの使用をお勧めします。
私はマットは主に以下の3ショップで窓抜きのオーダーをしています。
どこのショップが安いというわけではなく、マットのサイズごとに価格が違うので、欲しいマットサイズの価格を3つのショップで比べてみると良いと思います。
(その際には1.5mmと2mmで価格が違いますのでご注意ください。)
マルニ額縁画材店 楽天市場店
自社工房の額縁専門店ないとう
アートインテリア額縁のゆうびどう
UVカットフレームの利点
私の場合はUVカットスプレーはUV対策の気休めと作品の表面の保護程度に考えています。
そのため、大事な作品の場合はUVカットフレームの使用をお勧めしています。
スプレー無しでUVカットフレームだけを使用する場合もありますが、これはスプレーによって作品の質感を変えたくない場合です。
UVカットフレームには大体アクリル板が使用されているので、価格は普通のフレームより高価になります。
以下のショップではUVカットフレームを比較的多くのデザインとサイズで扱っているのでお勧めです。
さらにマットの窓抜きにも対応していますので、マットとUVカットフレームを一緒に購入したい場合に、こちらのショップ(マルニさん)は便利だと思います。

私はこのショップで最近このUVカットフレームの70角サイズを購入しましたが、とても気に入っています。

すでにお気に入りのフレームがある方はUVカットアクリル板のみをオーダーすることもできるそうです。
レジンコーティング
作品を
レジンコーティングするのも人気ですが、レジンコーティング作業自体にもリスクも伴いますし、レジンの経年劣化とUVカットが出来ない点を考えると、現在はレジンコーティングせずにフレームに入れるのが作品を長生きさせる一番の方法だと思います。
Alcohol Ink Art : レジンコーティングのリスク
とは言え、レジンコーティングした作品はインクに瑞々しさが戻ったようでとても美しいですね。
レジンコーティングをされる際には、リスクを理解し、最低でも1回は練習した上で、十分に換気を行いながら作業をなさってくださいね。
レジンコーティングの前には、UVカットスプレーでインクの表面を保護することを忘れないでください。
この一手間を忘れてしまうと、レジンでインクが滲んで作品が台無しになってしまいますよ。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
この1ページで必要なものがわかるようにまとめたのですが、ずいぶん長くなってしまいました。
繰り返しになりますが、みなさん、アルコールインクアートをされる際には、十分に換気をしてアートを楽しんでくださいね。
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