レジンアートで海の波ような模様を描きたいという方が増えていますね。
レジンアートとしてはシンプルなマーブル模様に並んで、波の模様は最もスタンダードなレジンアートですね。
作品のデザインによっては雲のようにも見えてとても素敵です。
難しそうに見えるのですが、実は最も簡単な模様で、デザインや色の組み合わせや仕上がりでいかにその模様を美しく見せるかが技術とセンスの見せ所なんです。
しかし『波の模様が出ない』とか『模様が出た後に消えてしまう』というご相談もありました。
私の場合は、波模様を出したくない時にも勝手に大発生してしまうくらいなので、はっきりと原因は分かりかねるのですが、原因として考えられる点はいくつかあります。
まずは波模様が発生する仕組みを知ることが大事です。
私は独学なので、厳密に言うと間違った点もあるのかもしれませんが、ふわっとご説明させていただきますね。
私はレジンアートを始める前は知らなかったのですが、色には色ごとの重さがあるんです。
この色の重さの違い (比重) によって波模様が発生するのですが、色の中で最も軽い色が白色なんだそうです。
逆に黒などの濃い色は重くなると思います。
実は軽い色ほどレジンの波模様が発生しやすいです。
なので、波模様を作りたい時は白色顔料のみを加えたレジンを使うのが最も簡単なんです。
着色していない透明のレジンに白色顔料を混ぜたレジンを垂らすとすぐに波模様が発生します。
熱や火を近づけなくても自然と発生するはずです。
熱はあくまでも模様の発生をお手伝するものなんです。
ちなみに、今までに『シリコンオイルを入れますか?』という質問を数回お受けしたことがありますが、レジンアートにはシリコンオイルは使用しません。
私は入れたことがないのでどの様な反応が見られるか分かりませんが、あまり余計なものを加えると、レジンの硬化不良や硬化後のベタつきの原因になるかもしれません。
また、オイルはレジンの表面に浮きやすく、硬化後も完全に拭き取ることが難しいと思います。
では次にレジンに白色顔料で着色するときの注意点をお伝えしたいと思います。
レジンの量に対して顔料(ピグメント)を加えすぎると、レジンの硬化不良、硬化後のベタつきなどの問題が発生します。
そのため、波模様も発生しにくくなったり、発生後にすぐに消えてしまうなどの問題も起きる可能性がありますね。
適切な顔料(ピグメント)の量としてはレジンの量に対し10%以下です。
しかしここでご確認頂きたいのが、白色の発色具合です。
レジン量に対し顔料を10%加えたのに、まだ白色が薄くて半透明に見える……という場合はその白色顔料の発色が悪いということです。
安い顔料ですと、溶けにくくダマも出来やすく、発色が悪いかもしれません。
良い顔料でしたら、10%も加えれば十分に発色し、透明感のない白色になるはずです。
顔料ではなく絵の具などを使用される方も多いかと思います。
絵の具というのは顔料にその他のものが混ぜられて液状(ペースト状)になっているため、レジンに絵の具を10%加えても実際の顔料は10%以下ということになりますので、色は薄くなりますね。
また、レジンに絵の具を加えると粘り気が出る感じがします。
もしかしたらこの粘り気や混ざっているものが波模様の発生を邪魔しているかもしれません。
純粋な質の良い顔料を使うことがお勧めです。
私がいつも使用しているのは以下の顔料のチタニウムホワイトです。
チタニウムホワイトは不透明な白色です。
紙コップに顔料とほんの少しのレジンを入れてよく混ぜ合わせ、ダマが無くなったら少しずつレジンを加えるのがお勧めです。
(ちなみに私は他の色もホルベインを使用しています。
同じブランドでも色によって発色が違うため、当たりハズレがあります。
比較的、中間色は発色が悪いものが多いです。
黒色も同ブランドのものを使用していますが、とても発色が良く愛用しています。)
室温も関係ありますか?というご質問もいただいたのですが、私の場合は季節に関係なく換気をしっかりしながら作品制作を行うので、外気温に近いのですが、波模様のでき方に差を感じたことがありません。
しかし、もちろんレジンの使用には適切な気温がありますので、それを守って作業をされた方が良いと思います。
(使用するレジンによって推奨する気温は若干違いますが、だいたい20〜25度くらいが良いとされます。説明書をご確認ください。)
特に日本の夏は暑く湿気が多くてレジンの仕上がりが悪くなるので、模様の出方にも影響があるかもしれませんね。
日本では春や秋などの過ごしやすい季節が一番レジンが扱いやすいです。
私が使用しているレジンは以下のものです。
高価ですが、黄変しにくいNEO(右)の方が好きです。
少し脱線しますが、海が好きで海のアートをしたいという気持ちで作品を制作されると思うのですが、プラスチックのカップを使っては捨てるという環境を考えていない動画や写真が散見されます。
SNS等でも多くの方がレジンアートのために用意するものにプラスチックカップを挙げていますが、プラスチックカップは必要ありません。
これを見ると本当に悲しい気持ちになります。
私も初めてのレジンアートでは、知らずにプラスチックカップじゃないといけないんだと思って使用したのですが、すぐにプラスチックカップは必要ないことに気づきました。
むしろ紙コップの方が丈夫なんです。
プラスチックカップは割れやすく、再利用しにくいです。
紙コップの方が柔軟性があり、破れたりはしません。
使用後の紙コップはレジンアート同様そのまま硬化させてください。
翌日には硬く丈夫になり、繰り返し使うことによって、どんどん厚く丈夫になります。
私は常に7色分くらいの紙コップを用意しています。
どれも1年以上使用していますが、まだ2年は使えそうです。
もちろんポプシカルスティック(混ぜるための木の棒)も何度でも再利用できるのでレジンを簡単に拭き取って硬化させてくださいね。
海や自然が好きなら、ぜひ紙コップを使用し、レジンを必要な分だけ計量してアートを楽しんでください。
脱線してしまいましたが、波模様についてもう一点ポイントをお伝えしたいと思います。
波模様は熱を近づけると更にたくさん発生します。
しかし通常は熱を近づけなくても波模様は自然と発生するので、この熱はほんの少しで良いんです。
逆に熱を長時間近づけすぎると、せっかく出来た波模様が薄くなったり、消えたりしてしまいます。
レジンは温めると温かいうちはとても柔らかくなります。
そして冷める時には常温で作業した場合に比べて、とても早く硬化します。
熱を当てている時間が長いと発生した模様までも柔らかくなって薄まったり消えたりしてしまいます。
熱を当ててから1、2秒の時差があって多くの模様が発生すると思います。
すこし熱を当てて様子を見る、またすこし熱を当てて様子を見るというふうに慎重に行ってください。
波模様が発生した瞬間からはできるだけ熱を近づけない、というイメージです。
そして最後に、透明レジンを垂らしてから白色レジンを垂らす時にアドバイスがあります。
レジンを垂らした時には普通、気泡がたくさん入っていますね。
そして多少の埃が入っているかと思います。
透明レジンを垂らして、キャンバス(ウッドパネルなど)上に広げたら、さっと熱を近づけて気泡を逃します。
そうすると気泡が抜け、よりレジンがクリアに見え、表面にある埃が見つけやすくなります。
その埃を爪楊枝などで綺麗に取り除いてください。
埃を取り除いてから白色レジンを垂らしてください。
なぜ白色レジンを垂らす前に埃を取り除いた方がいいのか?後じゃダメ?と思われるかもしれませんね。
もちろん後でも埃の最終チェックは欠かせません。
ですが波模様を作った後に埃を取り除くと、波の模様に埃を取り除いた亀裂のような隙間ができてしまったり、白色が引きずられたような跡が残ってしまいます。
上の写真で矢印の方向に波に亀裂が入った痕が見えますね。
ですから波模様を作った後は、なるべくレジン作品の表面を触らなくても良いように前もって準備しておくことが作品のクオリティーを高めるポイントになります。
波模様の作り方は以上ですが、皆さん、換気は必ず忘れずに安全にレジンアートを楽しんでくださいね。
(レジンは基本的に火気厳禁と記載されていますので、ガストーチやヒートガンなどの使用は自己責任で行ってください。レジンは有機溶剤であり、健康への影響もあります。必ず充分な換気をしながら、有機溶剤用のマスクを着用して作業を行ってください。)
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